月別アーカイブ: 9月 2011

バングラデシュ滞在記⑥ ~マイクロファイナンスの深い闇~

ツアー最終日。本来は、お土産を買ったり最後の観光を楽しむはずの日に、朝6時に起きてバスに乗りこむ。「昔マイクロファイナンスを受けていたが今は辞めてしまった人」を訪ねるという特別ツアーに、なんとほぼ全員が参加した。 向かった先は、首都ダッカのはずれにある、古びた農村。広大な田畑に、トタンやベニヤ板、ブロック塀でできたボロボロの集落が、点々と広がっている。 一体どんな現実が待ち受けているのか。 高まる期待と不安を旨に、「元借入人」の家に向かう。およそ傾きかけた藁ぶき屋根の家から出てきたのは、腰が二つに折れ曲がり、ボロボロの衣服を身にまとう、やせ細った老婆だった。聞くと、病床の夫と、娘、孫の7人で暮らしているという。  彼女に、マイクロファイナンスをなぜやめたのか、と聞くと、通訳として帯同しているBRAC大学のスタッフの顔を恐る恐る伺いながらも、ぽつりぽつりと話し始めた。  「今からおよそ3年前、家計が苦しくて、生活費のために、マイクロファイナンス機関からローンを借りた。わずかばかりの夫の給料でなんとか返済していたが、その一家の大黒柱が2年前に病気で倒れ、生活費が底をついて借金が返せなくなったしまった。毎日のように取り立てが来てとても怖かった。お金になるものは全て現金化して返済に回せ、といわれて、衣類や家具、家畜などを全て売り払った。なんとか返済することができたけど、おかげで無一文になってしまった。一時は駄目かと思ったけど、村の人たちが食糧を分けてくれるから、こうやって生きていられる。マイクロファイナンスからお金を借りることはできないけど、例え借りることができたとしても、もう借りたくない。借金は、ごめんだよ」  まるで日本で起こった出来事のように聞こえて、愕然とする。 意を決して、「返済ができなくなって、村を追われたり、自殺したりする人はいるんですか」と尋ねると、こんな答えがかえってきた。  「ここ数年で、マイクロファイナンス機関の数が急増した。こんな辺鄙な村にも、毎日5社から6社、マイクロファイナンス機関の担当者が営業しにくる。彼らはみな、「ローンを借りてくれ」と言ってくる。彼らの口車に乗せられてローンを借りてしまい、返せなくなって困っている人は、うちの村にも沢山いるよ。私のその1人だ。ただうちの村は、近くに大きな織物の市場があって、そこで商売をして成功した比較的裕福な人が多い。そういう人が、いざというとき、物を分けたりして助けてくれるんだよ。だから村を追われたという人は今のところいないはずだよ。でもそういう人がいない村では、悪質なローンの担当者に家財道具を持っていかれて家を追い出されたり、困窮して自殺する人もいると聞いている。そうならなくて、本当に良かった」 そういうと、彼女は膝を抱えてむき出しのトタン床の上に座り、うつむいた。 薄暗い家の中で、彼女の長く黒い影が、マイクロファイナンスの深い闇をあらわしているような気がしてならなかった。

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【掲載紙】賃金と社会保障 NO1542 7月下旬号

賃金と社会保障 NO1542 7月下旬号 「特集 共済の灯を消してはならない! パート4」 2011年3月5日、明治大学にて開催された、共済研究会 第4回シンポジウム「共済事業の現代的意義を考える」の内容が掲載されています。このシンポジウムでは、反貧困たすけあいネットワークの河添誠代表運営委員も、パート1・パネリストの報告と討論において、「『反貧困たすけあいネットワーク』の活動」と題して報告をしました。 ご興味のある方は、ぜひお読みください! 

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反貧困たすけあいネットワークが新聞で紹介されました!

新聞報道 2012年  1月4日 毎日新聞 リアル30’s:働いてる?(4)入社2ヶ月解雇通知  2011年 3月8日 朝日新聞(夕刊)  ロスジェネその後-新しい支えあいへ② 「晴れて社会人 借金あり」 2010年 6月5日 しんぶん赤旗  反貧困たすけあいネットがイベント パンと誇りを 若者熱く 7月2日 山梨日日新聞  論説 ‘10参院選 格差社会 「負の鎖」断つ具体策提示を  2009年 9月29日 しんぶん赤旗 貧困に苦しむ青年に募金 「緊急支援の会」からたすけあいネットに 東京新聞 こちら特報部 本音のコラム 定額給付金 鎌田慧  2008年 1月1日 東京新聞  社説 年のはじめに考える『反貧困』に希望が見える 1月5日 しんぶん赤旗  マスメディア時評 激動に怯(おび)えるか立ち向かうか 3月3日 北海道新聞  時代の肖像 若者たちの希望つなぐ 首都圏青年ユニオン書記長 河添誠さん 11月30日 東京新聞  社説 週のはじめに考える 反貧困ネットのその後 12月23日 朝日新聞  反貧困でつながる② 「支え合う感覚」を鍛える  2007年 … 続きを読む

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反貧困たすけあいネットワークがTVで紹介されました!

2010年12月17日放送 NHK特報首都圏 ミドルエイジクライシス  あすへの模索「”つながり”から希望へ」 http://www.nhk.or.jp/tokuho/archives/2010_10-2011_03/20101217/ http://www.nhk.or.jp/tokuho-blog/2010/12/ 安定した職が得られず、「非正規雇用」などの苦境に立たされることが多い、30歳代から40歳代の”ミドルエイジ”と呼ばれる世代。厳しい状況から脱して、社会的な立場を向上させるために、”ミドルエイジ”同士のネットワークがいま広がり始めている。非正規労働者自身と支援グループによる、「住まい」や「仕事」づくりの試み。不慮の事態で生活が困窮したときにすぐにもらえる一時金を出しあう「たすけあいネットワーク」。さらにWEB知識やデザインなど「一芸」をもつミドルエイジが集まって自分たちで仕事を広げていこうという動きも出ている。”ミドルエイジ”がクライシスから抜け出すために、”つながり”にいま何が必要なのか。”つながり”の課題と可能性を探った。 *湯浅誠事務局長が番組に生出演。また、河添誠代表運営委員のインタビューなどが放映されました。

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